健啖家ってどういう意味?言葉の成り立ちや正しい使い方を教えます!

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あなたは「健啖家」という言葉を耳にしたことはありますか?読書が好きな方は、文学作品などで目にしたことがあるかもしれません。一般的にはなじみのないこの言葉は、大食いの人を表しています。そんな「健啖家」の漢字の意味や言葉の使い方について見ていきましょう。

健啖家ってどういう人の事!?

「健啖家」という言葉をあなたはご存知でしょうか。「けんたんか」と読むこの言葉、昔の文学作品などで目にすることはありますが、日常会話の中ではめったに見聞きする言葉ではないかもしれません。

日本語は知らない言葉でも漢字を見れば意味がわかることが多い言語ですが、健啖家の「啖」にはなじみが薄いと思いますので、意味がわからない方も多いのではないでしょうか。

実はこの「健啖家」という言葉、大食いの人を表す言葉なのです。現代ではあまり使われなくなっているこの言葉について、少し学んでみませんか?

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健啖家の意味

デジタル大辞泉によると、健啖家は「食欲の旺盛な人。大食漢。」という意味が出てきます。この言葉について、もう少し詳しく見ていきましょう。

健啖

健啖という言葉は、食欲旺盛であることや、好き嫌いをしないでよく食べることを表します。みなさんはこの字面から言葉の意味を推測できましたでしょうか。ひとつひとつの文字の成り立ちを知ることで、言葉の意味を知ることができます。

次は、この熟語の漢字について解説していきます。

語源

「健」という字は、「すこやか」や「強い」という意味を持っています。みなさんも日常でこの漢字はよく目にすることでしょう。一方の「啖」という字はあまり見かけない漢字ですよね。常用漢字にも入ってないこの「啖」は、「食う」や「むさぼる」という意味を持っている漢字です。

それでは、なぜこのふたつの漢字が組み合わさって大食いという意味になるのでしょうか。

「健」は体が元気で丈夫な状態を表しています。そして「啖」は食べるという意味から、食べ物を消化する胃腸に転じました。つまり、「健啖」という言葉は、胃腸が丈夫であることを指しているのです。そこから、「健啖」はなんでも食べられる大食いを表すようになったのです。

健啖家の類語

健啖家の意味は「大食い」や「よく食べる」といったものでした。それでは、同じ意味の言葉は健啖家以外にもあるものでしょうか。ここでは、健啖家の類語についてお伝えしていきます。

大食漢

まずはこちらの「大食漢」。読み方は「たいしょくかん」で、読んで字のごとく、大食らいの人を指す言葉です。日常の中でも比較的使われる言葉なので、耳にしたことのある方も多いかと思います。

ひとつ注意が必要なのは、「漢」という文字。実はこの漢字は、男の人を表しています。つまり、女性に向かって「大食漢」という言葉は使えないのです。

グルマン

続いては「グルマン」。こちらはあまり耳慣れない言葉かと思います。しかし、「グルメ」という言葉の仲間と言われれば、なんとなく意味がわかりそうな気がしてきませんか?

グルメというのはフランス語で「食通」や「美食家」のこと。グルマンは「大食漢の~」という形容詞になっています。

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健啖家の対義語

健啖家にはいくつかの類語がありました。続いては、健啖家の対義語について見ていきましょう。

健啖の対義語はない

「健啖」という言葉は、よく食べることであると述べてきましたが、より詳しく言えば、食欲旺盛で、好き嫌いをせずになんでも食べるというニュアンスの言葉です。しかし、この言葉には、反対の意味を表す対義語はありません。

挙げるとすれば小食

あえて対義語を挙げるとすれば、「少食」がこれにあたるでしょうか。しかし、「少食」には好き嫌いをするという意味はありません。つまり、本当の意味で「健啖家」の対義語にはならないのです。どうしても健啖家の反対の意味の言葉を使いたいときに、正確ではないことを承知の上で「少食」を使うしかないようですね。

健啖の使い方

さて、これまで「健啖家」についてお伝えしてきましたが、「健啖」という言葉は実際に文章中でどのように使われているのでしょうか。文豪の名作の中で実際に使われた例を調べました。たくさんの使い方のうちのわずかな例ではありますが、ひとつずつ見ていきましょう。

「健啖に任せて」

「山月記」の著者として有名な中島敦。彼はデビュー作として、山月記とともに「文字禍」という短編小説を上梓しました。文字の精霊について研究する博士を面白おかしく描いたこの「文字禍」という作品の中に、次の一文があります。

“先日博士は生来の健啖に任せて羊の炙肉をほとんど一頭分も平らげたが、その後当分、生きた羊の顔を見るのも厭になったことがある。”

文字に親しみ過ぎてかえって文字に疑いを抱くようになったという感情の移り変わりの説明として、大食らいの博士がその食欲の進むままに羊肉を一人で食べ尽くした結果、羊を見るのも嫌になったことを思い返している場面です。「健啖に任せる」はこのように使われているのですね。

「あまりに健啖」

大正から昭和初期にかけて活躍した俳人・種田山頭火の「其中日記」の中に、次のような一節がありました。

“私は健啖、あまりに健啖だ! そのために私はかへつて苦しむ、あゝ何と大きい強い胃の腑であらう!”

食べるものにも住むところにも困っていた山頭火が、自らの大食らいを嘆いている様子です。ここでは「健啖家」とほぼ同じ意味で「健啖」という言葉を使っていますね。

「健啖な食欲」

「父帰る」や「真珠夫人」などで知られる菊池寛の作品の中に、平安時代の僧侶・俊寛を描いた「俊寛」という作品があります。その中で、健啖という言葉が使われていました。

“この豪快な鰤釣が、この頃の俊寛にとっては、仕事でもあり、娯楽でもあった。四尺を越す大魚を三、四匹繋いで、砂の上を小屋まで引きずって帰るのは苦しい仕事であった。が、それを炙ると、新鮮な肉からは、香ばしい匂いが立ち、俊寛の健啖な食欲をいやが上にも刺激する。”

俊寛が島の大自然の中で生活し、魚を獲っては焼いて食べるという日々を描いている場面の中で、「健啖な食欲」という言葉が出てきています。好き嫌いもなく、なんでも豪快に食べていく様が思い浮かんできますね。

「健啖ぶり」

同じく菊池寛の作品に「貞操問答」という小説があります。昼ドラとして放送されたこともあるので、知っている方も多いのではないでしょうか。その原作の中に「健啖」という言葉が登場しています。

“父母の会話を外に兄姉達は、喰べるのに忙しい。殊に小太郎の健啖ぶりは、痛快と云うよりも、親の眼からは、あの小さい身体のどこへはいってしまうのかと、ハラハラするほどで、スープと肉と、その後のトルヴィルというケチャップで、色をつけた鳥めしのような前川家自慢の料理を、大きい皿でおかわりをして喰べている。”

前川家の子供たちの食欲旺盛さを表しているこの場面。特に、小柄な小太郎の大食らいの様子を「健啖ぶり」という言葉で表しています。ガツガツと食べ進めていく様子が伝わってくる言葉ですね。

他にも、時代小説や時代劇などで、よく食べることを褒める際に「見事な健啖ぶりよ!」などという言い回しを見たことのある方も多いのではないでしょうか。

健啖家が登場する漫画

随筆や小説作品に使われた「健啖」という言葉を見てきました。続いては、漫画の中で登場する健啖家の紹介です。

グラップラー刃牙

週刊少年チャンピオンに連載している板垣恵介さんの人気漫画「グラップラー刃牙」。主人公の範馬刃牙が、さまざまな格闘家と闘っていき、地上最強の生物を目指すバトル漫画のシリーズ作品です。

この作品は、戦いの描写もさることながら、食べ物をとってもおいしそうに食べていく描写も特徴のひとつ。その中で、刃牙の父親である範馬勇次郎の人物像について、「健啖家でなんでも食べるが、牛や鶏などの家畜の肉よりも、鹿や猪といった野性の肉を好む」とホテルのマネージャーが述懐しているシーンがあります。いかにも地上最強の生物と呼ばれる人物にふさわしい食事ですね。

干物妹!うまるちゃん

続いてはサンカクヘッドさんのギャグ漫画で、週刊ヤングジャンプに連載している「干物妹!うまるちゃん」を紹介します。主人公の土間うまるは、外にいるときは容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の才色兼備な女子高生ですが、家に帰ると二頭身キャラになって夜更かししたり偏食したりというグータラ娘になってしまう女の子です。

そんなうまるちゃんのクラスメートの海老名菜々ちゃんが、大変な健啖家なのです。うまるちゃんと同じアパートに住む一人暮らしでありながら、冷蔵庫を二台も所有し、とにかくよく食べるのです。おいしい物を食べているときには地元の秋田弁が出てしまうのもかわいいですね。

他に、うまるちゃんの高校で特進クラスに所属している金剛ヒカリちゃんも、菓子パンやドーナツを一度に何個も食べてしまうほどの大食いな女の子です。

健啖家のうわさ話

フィクションの世界ではよく出てくる健啖家ですが、現実の世界ではどのような人たちなのでしょうか。健啖家に関するいろいろなうわさ話をまとめてみました。

健啖家は長生き?

健啖家は長生きをするという説があります。年を取っても元気な人は、食欲も旺盛であるということですね。

漫画家の水木しげるさんは、93歳で亡くなるまで、健啖家として知られていました。子供の頃から大食漢で、Twitterに食事の様子をアップすることもしばしば。胃腸が丈夫であることを人によく自慢していたそうです。

96歳で亡くなった俳優の森繁久彌さんも、大の健啖家でした。亡くなる数年前までフォアグラやステーキを平らげ、ブランデーを好んで飲んでいたのだそうです。

海外でも、映画監督のジャン・ドゥーシェ、女優のフランソワーズ・アルヌールなどは、長寿の健啖家として知られています。

ただし、この「健啖家は長生き」といううわさ話に医学的な根拠はないそうです。食が細くても長寿を全うする人もいますし、大食いで短命な方もいます。長寿の有名人に健啖家がいると話題になりやすいというだけのことかもしれません。ただひとつ言えるのは、長生きしようとして無理して食べ過ぎるのは、かえって体に悪いということですね。

健啖家は女子も多い?

一般的には、女性は男性よりも小食ですよね。しかし、世の中には健啖家女子も多いんです。

有名なところでは女優の北川景子さん。あのスリムな体で1日に4食から5食は食事を摂るというから驚きです。さらに、深夜まで撮影が続くときは1日9食ということもあるのだとか。これだけ食べて太らないのですから、彼女は幸せ太りには無縁かもしれません。

俳優・高橋英樹さんの娘でフリーアナウンサーの高橋真麻さんも健啖家です。フジテレビの局アナだった頃、社員食堂に2時間おきに現れては3品から5品を注文し、食べ足りないときにはお持ち帰りまでしていたのだそう。彼女はその分、体重変動も激しいそうです。

そして、大食い女子として外せないのはギャル曽根さんでしょう。テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」に出演したことから知名度を上げ、大食いタレントとして活躍しています。しかし、彼女はフードファイターとしてはめずらしく、好き嫌いが激しいことでも有名です。そのため、好き嫌いをせずになんでも食べる「健啖家」には当てはまらない、大食い女子ということになります。

穀潰しと言われる事も?

好き嫌いをせずになんでもよく食べる健啖家ですが、その分だけ食費がかさんでしまうのが悩みどころ。働きもせずに食欲に任せて食べ続けていると、穀潰しと呼ばれてしまうかもしれません。せめて自分の食費くらいは稼いでくるか、家事の手伝いなどはしておきたいところですね。

前述のギャル曽根さんは子供の頃、お姉さんとともに地元の大食いイベントなどに参加し、賞金を貰うことで家計に貢献していたのだそう。他にも、その持久力を活かして市民マラソンなどにも積極的に参加し、賞品の米俵などを荒稼ぎしていたそうです。

日常で使ったら頭が良く見えるかも

みなさん、健啖家という言葉について、お分かりいただけましたでしょうか。これからは本を読んでいるときにこの言葉が出てきても、意味をキチンと理解できることと思います。

芸能人の中にもよく食べることを公にしている人はたくさんいます。そんなとき、「この人は大食いだ」と言うよりも、「この人は健啖家だ」と言った方が、ちょっとスマートに見えませんか?

日常会話の中では耳にする機会も少ない古めかしい「健啖家」という言葉ですが、こういう言葉をサラッと使えるようになったら格好いいですよね。

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