呼吸リハビリテーションの意義は?患者さんのQ・O・L向上のために

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呼吸リハビリテーションといっても、ピンとくる人ってなかなかいないのではないかと思います。呼吸器に問題がある方の生活の質(Q・O・L)を向上させるためのものなのですが、どのような人がどんな方法で行うのでしょうか。

呼吸リハビリテーションってなに?

呼吸のリハビリテーションとは文字通り、呼吸をするために必用な筋肉を鍛えたり、より効率的な呼吸法を習得したりするリハビリや、呼吸困難がおこった時にパニックにならないように、学習することを言います。それではまず、呼吸リハビリテーションについて、その目的や行うべき人について見ていきたいと思います。

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呼吸リハビリテーションの基礎知識!

呼吸リハビリテーションはどのような人が、どんな目的を持って行うのでしょうか。そしてどのような施設で、どんな人によって行われるのでしょう。では、まずはどのような目的があって、どんな効果が期待されるのかについて見ていきましょう。

目的

呼吸リハビリテーションの目的は、何らかの原因によって呼吸器に障害を抱えた人が、残された肺の機能や呼吸筋を最大限に使うことで、少しでも生活の質(Q・O・L=クオリティ・オブ・ライフ)を向上させることが可能になるようにすることです。呼吸リハビリテーションが行われるのは、在宅酸素療法のみでは限界があることが背景にあります。

なぜなら、慢性的に呼吸に障害を抱えている患者さんは、少しの動作で息切れや呼吸困難を感じてしまうため、外出したりすることが怖くなってしまい、結果として足腰の筋肉が衰えることによって、日常生活にまで支障をきたすことになります。また、運動をしないので食欲が低下し、体重や筋力が低下すると言った悪循環に陥りやすくなります。

こういった悪循環を断ち切るためにも、呼吸を訓練するリハビリテーションを行うのはもちろん、呼吸するための筋肉や足の筋肉を鍛える運動療法や、食事療法なども合わせて行っていくこととなります。一番の目的は先にも述べたように、患者さんの生活の質を少しでもより良くすることです。

ちなみに、日本呼吸管理学会、および日本呼吸器学会がまとめたガイドラインでは、「呼吸リハビリテーションとは、呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者に対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者自身が自立できるように継続的に支援していくための医療である」と定義されています。

効果

呼吸リハビリテーションの効果としては、まず第一に、息切れや息苦しさがといった辛い症状を改善すること、生活能力を改善する(身の回りのことが出来るようになりる)こと、不安や抑うつ状態が軽減することや手術後の肺炎のリスクを低下すること、また、入院期間を短くすることなどがあって、それらは「科学的に」証明されているということです。

リハビリが必要な人

呼吸リハビリテーションが必要な人は、肺炎などの急性疾患や肺や食道などの手術を受ける予定がある人、また、肺気腫や慢性の気管支炎、気管支喘息や気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患や肺線維症、間質性肺炎などのなどの慢性疾患を持っている人などが対象となります。

その他にも、脳の血管の障害や筋ジストロフィーなどの神経筋疾患で呼吸がうまくできない人や、気管切開をしたりして、呼吸管理を受けている人なども対象となります。ちなみに、リハビリテーションが受けられる期間は、リハビリ開始日から90日という決まりがあるそうです。

リハビリ施設

リハビリテーション科の専用機能訓練室は、病院については内法による測定で100平方メートル以上、診療所については内法による測定で45平方メートル以上のスペースが施設基準となっており、また、呼吸器リハビリテーションの経験を有している、専任の常勤医師が1名以上勤務していることも条件となります。

それに加えて、やはり呼吸ケア指導士などの資格を有している専従の常勤理学療法士と、常勤の理学療法士、または作業療法士が2名以上いることが必要です。また、呼吸機能検査機器、血液ガス検査機器などの各種計測器具を備えていることやなども必要となります。

リハビリテーションの方法について

呼吸リハビリテーションについての意義などは、以上のことから分かって頂けたことと思います。次に、実際に呼吸リハビリテーションがどのように行われるのかについて見ていきましょう。

呼吸法・排痰法

呼吸リハビリテーションの内容については、患者さんの病気の程度などが評価されたのち、マニュアルに沿ってリハビリのプログラムが組まれることになります。リハビリテーション科が関わるプログラムとしてはまず、呼吸法や排痰法があります。呼吸法としては、効率的に呼吸するための「口すぼめ呼吸」を習得します。

排痰法とは漢字からも分かる通り、痰を体外に排出する方法です。それによって痰が絡むことによる苦痛を緩和したり、細菌感染を起こすリスクを下げることが期待できます。

生活に合わせた動作の学習

日常生活を送る上での無駄のない動作や、動くスピードについて学びます。場合によっては環境を改善することに関しても(ベッドやポータブルトイレなど)アドバイスが行われます。

息切れを軽減する動作の学習

息切れを軽減する動作の学習も、呼吸リハビリテーションにおいて大事なことの一つです。動作の際には息を止めずに、呼吸とともに動くように心がけます。ところで、欧米に比べると、日本ではまだまだ呼吸リハビリテーションが普及しているとは言い難い現状があるそうです。

保険診療上では脳卒中や骨折後のリハビリと同じカテゴリーであり、保険点数上で見た場合、心臓疾患のリハビリテーションの35%程度しか行われていないということです。そのため、呼吸リハビリテーションの医療保険点数を実情にあったものに整備することが必要ということが言われています。

また、欧米と比べた場合、呼吸リハビリテーションの実施内容が包括的でない点も問題に挙げられています。お医者さんにとっては耳に痛い話かもしれませんが、日本では慢性呼吸器疾患の治療全体に対して、包括的に対処しようとする考え方が欠如していることが、当のお医者さんによる学会によって指摘されています。

また、患者さん側の意欲が低いことも指摘されていますが、これに関しても、プログラムの内容や期待される効果についてのインフォームドコンセントが不十分なのではないかという指摘があります。これらの諸問題は、今後の呼吸器疾患に対するリハビリテーションの課題と言えるようです。ちょっと脱線が長くなりましたが、またリハビリテーションのお話に戻りたいと思います。

歩行練習

呼吸器の疾患を抱えている人は、息苦しくなる→歩かなくなる→筋力が低下する→ちょっとの動作で息苦しくなる→また歩かなくなり筋力が低下する、といった悪循環を繰り返すこととなるので、弱った手足の筋力を回復する運動トレーニングがおこなわれることになります。また、それによって息切れの改善も図ります。

筋力トレーニング

運動療法の一環として、上肢や下肢、また呼吸筋の筋力トレーニングを行います。

柔軟体操

背中の筋肉が固くなると、胸郭の動きが悪くなって呼吸が浅くなってしまいます。そこで、固くなった上半身の筋肉をゆるめ、呼吸が行いやすくすることを図ります。

教育的プログラム

急に息切れがひどくなった場合などの、パニックコントロールを学びます。これについては、講義やビデオを通して行われます。

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まずは禁煙から始めましょう!

慢性の呼吸器疾患に関しては、症状が徐々に進行していくことが多いそうです。生活の質を保つためにも、タバコを吸う習慣のある人は、一刻も早くやめること大事です。5年後、10年後のために今できることから始めましょう。

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